気づきの連続性とは?
「気づきの連続性(Awareness Continuum)」は、ゲシュタルト療法の大事な考え方です。この気づきとは、自分の存在や今この瞬間で何が起きているのかを感じることを指します。簡単に言えば、私たちが日々の生活で感じたり、考えたりしていることにきちんと目を向けることです。
有名なセラピストのローラ・パールズは、このように説明しています。
「ゲシュタルト療法の目的は気づきの連続性を作ることです。これにより、一番大事なことがはっきり前に現れ、しっかり体験して対処できるようになります。そしてその問題が解決すると、次の大事なことに集中できるようになるのです。」(Perls, 1973)
私たちは、気づきの流れを妨げる「ブロック」によって困難を感じることがあります。このブロックとは、特定の問題にとらわれ過ぎて他のことが見えなくなるような状態を指します。
気づきが妨げられるとき
たとえば、不安を感じているときのことを思い浮かべてみてください。不安に集中しすぎると、それが頭の中でどんどん大きくなり、他のことを考える余裕がなくなります。その結果、これまでの人生で問題を乗り越えてきた経験や自信が見えなくなってしまいます。
また、選択肢が多すぎるときも気づきが妨げられることがあります。たくさんの選択肢に圧倒されると、どれを選べばいいのか分からなくなり、今この瞬間に集中できなくなるのです。
さらに、日常生活が忙しすぎると、自分が本当にしたいことや感じていることが埋もれてしまうこともあります。「こうしなきゃ」「こうあるべき」といった外からのプレッシャーが、それに拍車をかけます。
気づきのレベルは状況次第
気づきにはいろいろなレベルがあります。たとえば、直感的に環境を敏感に感じ取るような「高い気づき」が必要なときもあれば、反対に、あまり気づきを意識しなくてもいい場面もあります。
たとえば、
- 赤ちゃんのお世話をしているお母さんは、自分のことを忘れて赤ちゃんに集中します。
- 眠っているとき、私たちの体は自動的に筋肉の緊張を保っています。
どちらも、その場にふさわしい気づきのレベルです。ただし、お母さんが子供が大きくなった後も自分の欲求を無視し続けると、それは問題になる可能性があります。このような状況は、固定化された「ゲシュタルト」(心理的な図)と呼ばれます。
セラピストとクライアントの関係
ゲシュタルト療法では、気づきは一人だけのものではなく、セラピストとクライアントの関係の中で生まれるものです。セラピストの役割は、クライアントが自分の周りの世界にどう影響を受けているか、そして自分が周りにどう影響を与えているかを気づけるようサポートすることです。
セラピストが適切なタイミングで自己開示をすることも、クライアントの気づきを深める助けになります。これにより、クライアントは自分と他者の関係をより深く理解できるようになります。
さまざまな気づきの形
ゲシュタルト療法では、体の感覚や感情に目を向けることがよく強調されますが、認知的な気づき(考えること)も同じくらい大切です。
気づきには、
- 認知的(考える)
- 感覚的(感じる)
- 精神的(深い意味を考える)
- 言語的(言葉にする)
といったさまざまな形があります。これらを統合することが、より豊かな気づきにつながります。
セラピストは、クライアントがどんな形で世界と関わっているのか興味を持ち、その過程を一緒に探ることが求められます。そして、それを通じてセラピスト自身も成長できるのです。
気づきの連続性を広げることは、私たちの生活をより豊かにし、他者とのつながりを深める力になります。日々の中で、自分が何を感じ、何に気づいているのかを少しだけ意識してみることから始めてみましょう。
「見えないゴリラ」についての詳細は、
https://www.theinvisiblegorilla.com/
Social Plugin