はじめに
「ゲシュタルト」という言葉、聞いたことがありますか?なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は私たちの普段の生活や心の動きを理解するのに、とても大切な考え方なんです。今回は、この**「ゲシュタルト」**という言葉の意味と、それが私たちの心にどう関係しているのかを、一緒に見ていきましょう。
「ゲシュタルト」って、簡単に言うと?
「ゲシュタルト(Gestalt)」はドイツ語で、「形」「全体」「まとまり」という意味を持つ言葉です。心理学では、私たちがバラバラなものを見ていても、それを自然と意味のあるひとつのまとまりとして捉える心の働きを指します。
例えば、
点々で描かれた絵を見たとき、私たちは個々の点ではなく、そこに描かれた「絵」そのものとして認識しますよね?
いくつかの音が並んでいるのを聞いたとき、単なる音の羅列ではなく、美しい「メロディー」として感じ取ります。
これが、私たちの心に備わっている「ゲシュタルト」の働きです。
私たちの心も同じです。感情、考え、体の感覚、行動、そして周りの環境。これらはすべてバラバラに存在しているのではなく、お互いに影響し合いながら、常にひとつの「まとまり」として動いている、とゲシュタルト療法では考えます。
ゲシュタルトが崩れるとどうなる?「ゲシュタルト崩壊」とは
普段は意識していない「まとまり」ですが、それが崩れるとどうなるのでしょうか?
例えば、同じ漢字をじっと見つめ続けていると、だんだんその漢字がただの線のかたまりに見えてきて、「あれ、この字ってこんな形だったっけ…?」と感じることがありませんか?これが、まさに「ゲシュタルト崩壊」の一例です。見慣れたものが、急にバラバラに見えて意味が分からなくなる現象ですね。
私たちの心でも同じようなことが起こることがあります。心身の調子が悪かったり、人間関係で悩んだりするとき、それはこの「まとまり」が崩れてしまっている状態だと考えられます。
過去のつらい出来事をいつまでも引きずったり、未来への不安ばかりにとらわれたりすると、「今、この瞬間」に起きていることの全体像が見えなくなってしまいます。
頭で考えていることと、体が感じていることがバラバラになって、「ちぐはぐ」な状態になることも、「ゲシュタルトが未完成な状態」と言えるでしょう。
ゲシュタルト療法は、このような「まとまり」が崩れた状態に気づき、それを再びひとつのまとまりに戻していくことで、心と体の健康を取り戻す手助けをします。
日常生活で「ゲシュタルト」を意識してみよう
「ゲシュタルト」という考え方は、私たちの日常生活にも役立ちます。
例えば、何か問題にぶつかったとき、その問題の「一部」だけを見るのではなく、それが自分の感情、考え、行動、そして周りの環境とどうつながっているのか、全体像として捉えようと意識してみてください。
また、普段の生活の中で、自分の感情や体の感覚に意識を向けてみましょう。
今、何を感じていますか?
体のどこに力が入っていますか?
そうすることで、心と体の「まとまり」を感じ、より充実した「今ここ」を体験できるようになるはずです。
まとめ
「ゲシュタルト」とは、私たちが世界を意味のある「まとまり」として認識する心の働きです。この「まとまり」が一時的に分からなくなるのが「ゲシュタルト崩壊」です。ゲシュタルト療法では、崩れてしまったこの全体性を回復し、自分自身を統合することを目指します。
日々の生活で「今ここ」の体験に意識を向け、心と体のつながりを感じることで、あなたもゲシュタルトの力を体験できるでしょう。

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