「全体性」って何?心と体、そして世界はつながっている!

はじめに

私たちは普段、自分の心と体を別々のものだと考えがちです。頭で考えることと、体で感じることがバラバラだと感じることもありますよね。でも、ゲシュタルト療法では、人間は心、体、感情、精神、そして周りの環境がすべてつながり合っている「全体」だと考えます。これが「全体性(Holism)」という考え方です。今回は、この「全体性」が私たちの健康や幸せにどう影響するのか、そしてゲシュタルト療法がどのようにこの全体性を取り戻す手助けをするのかを見ていきましょう。


「全体性」とは何か

「全体性(Holism)」は、ギリシャ語の「holos(全体)」から来た言葉で、物事をバラバラな部分の集まりとしてではなく、お互いにつながり合う一つのまとまりとして捉える考え方です。ゲシュタルト療法では、人間を次のような要素が深く結びついた「全体」として考えます。

  • : 考え、信じていること、記憶など

  • : 感覚、動き、体の反応など

  • 感情: 喜び、悲しみ、怒り、不安など

  • 精神: 大切にしていること、目的、心のあり方など

  • 環境: 他の人、社会、自然など

これらの要素は、どれか一つだけが単独で存在するのではなく、常に互いに影響し合い、一つの生き物として機能していると考えます。例えば、ストレスを感じると(心)、胃が痛くなったり(体)、イライラしたり(感情)することがありますよね。これは、心と体が密接につながっている「全体性」が働いている証拠です。


ゲシュタルト療法で「全体性」が大切な理由

ゲシュタルト療法が「全体性」を重視するのは、私たちが心や体の調子が悪くなったり、問題に直面したりするとき、それはこの「全体」のバランスが崩れてしまっている状態だと考えるからです。例えば、感情を抑えつけたり、体の感覚を無視したりすると、心と体の間にずれが生じ、本来持っている自分を調整する力がうまく働かなくなります。

セラピーの場では、クライエントが自分自身の「全体性」に気づき、それを取り戻せるように手助けします。セラピストは、クライエントが話している内容だけでなく、体の動き、表情、声の調子、呼吸など、あらゆる側面に注意を向けます。そして、「今、あなたの体は何を伝えようとしていますか?」「その感情は体のどこに感じられますか?」といった問いかけを通して、クライエントが心と体のつながり、そして自分と環境とのつながりに気づくことを促します。

この「全体性」に気づくことは、まだ解決していない感情や欲求を整理し、より健全な自分として機能するための土台となります。心と体が調和し、環境と健康的に関われるようになることで、私たちは本来持っている生命力や創造性を発揮し、より充実した毎日を送ることができるようになるのです。


日常生活で「全体性」を意識するヒント

「全体性」の考え方は、日常生活の中で私たちの健康や幸せに役立ちます。

  • 心と体のつながりを感じる:疲れていると感じたら、無理をせず休む。イライラしたら、深呼吸をして体の緊張を和らげる。自分の心と体の声に耳を傾け、それらがどう影響し合っているかを感じてみましょう。

  • 五感をフルに使う:食事の際、味だけでなく、香り、見た目、食感、そして食べる音にも意識を向けてみましょう。自然の中にいるとき、風の音、鳥の声、土の匂い、木々の緑など、五感で感じられるすべてを体験してみましょう。

  • 自分と環境のつながり:自分が今いる場所、周りの人々、自然など、環境とのつながりを意識してみましょう。私たちは一人で存在しているのではなく、常に環境と影響し合いながら生きています。

これらのことを続けることで、「全体性」への気づきを深め、あなたはもっとバランスの取れた、豊かな人生を築くことができるでしょう。


まとめ

「全体性」は、ゲシュタルト療法の大切な考え方で、人間を心、体、感情、精神、そして環境がすべてつながり合う一つのまとまりとして捉えます。この全体性を取り戻すことで、私たちは自分自身のバランスを回復し、より健康で充実した毎日を送ることができます。今日からあなたも「全体性」を意識して、心と体のつながりを感じてみませんか?